「マイクロ法人」というワードを聞いたことありませんか?
近年、法人と個人事業主のいいとこ取りができるスキームとしてマイクロ法人の設立が注目されています。
個人事業主からみれば、法人設立はハードルが高いと思うかもしれませんが、マイクロ法人なので自分1人で事業を行う非常に小さい会社なので簡単です。
では、その「マイクロ法人」が何なのか?
設立するのにどんなメリットとデメリットがあるのか?
これらを理解して、マイクロ法人設立が自分に適しているのかが分かります。
是非、最後まで読んでみてください。

マイクロ法人を理解しよう。
マイクロ法人とは?
マイクロ法人とは、経営者1人だけ、もしくは少人数で運営するごくごく小規模な会社のことを言います。
マイクロ法人は、法的に定義されている用語ではありませんが、一般的に下記の定義がマイクロ法人と呼ばれるものです。
【マイクロ法人の定義】
・従業員数が少ない(経営者のみ、または数名)
・小規模な資本金
・事業規模が小さい
個人事業主が節税や社会保険料軽減を目的として設立することが多いのが「マイクロ法人」です。



マイクロ法人の目的は節税!
マイクロ法人と中小企業の違い
中小企業とマイクロ法人ではどう違うのか?
マイクロ法人 | 中小企業 | |
定義 | 非公式な呼称 | 中小企業基本法に基づき分類される法人 |
事業規模 | 非常に小規模 | 小規模~中規模 |
売上規模 | 数十万円~数百万円程度 | 数千万円~数十億円規模 |
従業員 | 経営者のみもしくは数名 | 数名~300人以下 |
資本金 | 1円~ | 最大3億円以下 |
法的には、通常の会社とマイクロ法人は同じとみなされますが、経営者1人で小さな事業を行う会社を「マイクロ法人」と言われています。
マイクロ法人は、節税や社会保険料軽減を目的として設立することが多いことに対して、中小企業では本格的なビジネスを展開するための組織体としての背景があります。
マイクロ法人と個人事業主の違い
個人事業主とマイクロ法人ではどう違うのか?
マイクロ法人 | 個人事業主 | |
法人格 | あり | なし |
税金 | 法人税 | 所得税 |
社会的信用 | 高い | 法人より低い |
運営人数 | 経営者のみもしくは数名 | 本人のみ、または家族 |
マイクロ法人と個人事業主は、どちらも小規模なビジネスを行う形態ですが、大きな違いは法人格の有無にあります。マイクロ法人は、あくまで法人であり税制や社会的信用が大きく異なります。
その性質を活用して、個人事業主とマイクロ法人の二刀流が注目されています。



個人事業主とマイクロ法人の二刀流でいいとこ取り!
マイクロ法人設立のメリット
マイクロ法人の主なメリットは次の4つです。



メリットを最大限に活かそう。
節税が出来る
一番のメリットは節税の自由度が高いことにあります。
個人事業主と比べて経費範囲が広く節税対策も可能です。
・役員報酬をコントロールして課税所得を調整
・マイクロ法人の法人税は15%(年800万円以下)
・経費計上できる範囲が広い
社会保険料の負担軽減
社会保険に加入することによって、個人事業主が負担する健康保険料より軽減することができます。
マイクロ法人の最大のメリットともいえるでしょう。
・役員報酬を低く設定すれば健康保険・厚生年金の負担を抑えることが可能
・個人事業主の国民健康保険・国民年金よりも保障が厚い
赤字の繰り越しが長い
個人事業主と比べて、法人の方が赤字(損失)の繰り越しが長いです。
・法人は赤字(損失)繰り越しが10年間
・個人事業主は赤字(損失)繰り越しが3年間
社会的の信用力が高い
マイクロ法人は法人格を持ち、個人事業主と比べると社会的信用が高くなります。
・法人格でありビジネス取引の信用が上がる
・契約や融資などが有利
・補助金の申請などが個人事業主より多い
マイクロ法人設立のデメリット
マイクロ法人の主なデメリットは次の4つです。



デメリットを理解してマイクロ法人設立!
設立にコストがかかる
マイクロ法人を設立するには、個人事業主と比べて費用が発生します。
・合同会社なら約10万円の設立費用
・株式会社なら約20万円の設立費用
・個人事業主なら開業費用はなし
維持にコストがかかる
マイクロ法人を設立すると、赤字でも法人住民税が発生します。また、会計ソフトや税理士費用(自力申告も可能)も必要になります。
・赤字でも年間約7万円の法人住民税が必要
・会計ソフトが年間約3~5万円
・税理士報酬として年間約10万円~20万円
決算申告の手間が増える
法人は、毎年決算月に「決算書」や「法人税・法人住民税・消費税の申告」が必要になります。
また社会保険手続きの労務管理も増えることになります。
・個人事業主とは別に決算申告が必要
・個人事業主の確定申告より法人申告は複雑
マイクロ法人設立の注意点
マイクロ法人を設立・運営に関して、法的義務・税務上の制約など注意する点がいくつかあります。節税メリットばかりではなく「やってはいけないこと」も理解しておきましょう。



やってはいけないことも熟知しよう。
ペーパーカンパニーにならないように
ペーパーカンパニーとは、事業活動の実態がないまま法人登記している会社のことです。
税金や社会保険料の節税だけのために「実体のない法人」として見なされないよう法人としての事業活動を行わなくてはなりません。
事業被りはNG
個人事業主とマイクロ法人での事業内容が一緒ではいけません。
同じ事業運営をしていると、行政から「税金逃れ」を指摘され追徴課税を受けてしまう可能性もあります。
個人事業主とマイクロ法人の二刀流を行う場合は、異なる事業を選択してください。
マイクロ法人におすすめの業種
マイクロ法人を設立する際は、どんな事業を選択すべきでしょうか?
また、どんな業種がマイクロ法人に向いているのでしょうか?
マイクロ法人でおすすめの業種について解説しますので参考にしてみてください。
マイクロ法人に最適な業種の特徴
以下の項目があてはまる業種がマイクロ法人に向いています。
・事務所(オフィス)がいらない
・設備投資をしなくていい
・仕入れの必要がない
・在庫を持たなくてもいい
・顧客との直接やりとりがない
・専門的な業務
・スキルが活用できる業務
・副業としてできる業務
基本的に、運営コストがかからず個人の強みを活かせる業種が最適です。
マイクロ法人に最適な業種例
例えば、以下の業種がマイクロ法人に向いています。
・コンサルタント業(IT専門コンサル・コーチングなど)
・ウェブクリエイター業(Web制作・YouTuber・アフィリエイトなど)
・プログラマー業(プログラマ・エンジニア・動画編集など)
・デザイナー業(イラストレーター・WEBデザイン・グラフィックデザインなど)
・ライター業(ライター・翻訳など)
・資産管理・資産運用業(株・不動産・FX・仮想通貨など)
・オンラインサロン業
コンサルタント業
コンサルタント業は、仕入れや在庫を持つこともありません。
個人の経験やスキル、知識を活かすことができるためマイクロ法人に最適です。
ウェブクリエイター業
ウェブサイトやウェブコンテンツなどの構築、インターネット関連の制作を行う業種のです。
在庫を抱えることなく個人の技術で業務が行えます。
ただ、専門知識が必要なため未経験からのスタートは困難ですが、スキルさえあればマイクロ法人に最適です。
プログラマー・デザイン・ライター業
こちらも在庫などはほぼ必要はなく技術のみで運営できる業種となります。
今までの経験を活かせればマイクロ法人に最適です。
資産管理・資産運用業
株式取引や不動産投資などを運用する事業のことです。
始めるためにはある程度の資金が必要となります。
いきなり不動産投資はリスクがありますが、株取引は比較的簡単に始められます。
ただ、損失の可能性もありますのでリスク管理は十分に必要です。
オンラインサロン業
個人の培った経験や知識をオンラインで伝えるコミュニティ運営の事業です。
コンサルタント業に似ていますが、対面での営業ではなくオンラインでの運営となり集客もより多くの顧客拡大が見込めます。
まとめ
ここまで、マイクロ法人とは、メリット・デメリットなどが理解できたと思います。
マイクロ法人の設立は、社会的信用や税金・社会保険料の減額が大きなメリットとなっており、デメリットを考えながら大きな節税対策が出来ます。
実際、私もマイクロ法人を設立し節税に成功しました。
もっと複雑で大変かと思っていたのですが、意外にも簡単に設立でき、逆にもっと早くやっておけばよかったなと後悔しています。
また、別の記事で「マイクロ法人の設立方法」や「マイクロ法人の決算申告方法」などの記事をアップします。
この記事が、皆様の意思決定の助けになれば幸いです。



マイクロ法人設立しました。
やってよかったよ♪
コメント